ECサイト構築の第一歩は、なぜECサイトを開設するのかという目的を明確にすることです。事業拡大のため新規販路確保を目指すのか、既存の店舗販売とオンラインを連携させるオムニチャネル化を目指すのか、目的によってECサイトの規模や機能の要件は大きく異なります。
目的が明確になれば、次はECサイトの事業規模の想定に移ります。年商目標から想定売上高を立て、取り扱う商品の種類や点数、注文数の見込みなどを検討します。これらの要件がECサイト構築の方向性を決める大きな指標になるためです。
オープンソースソフトウェアとは、ソースコードが無償で公開され、誰もが自由に利用・改変・再配布できるソフトウェアのことです。このオープンな性質により、世界中の人々の協力を得ながら、質の高いソフトウェアを作ることができます。
オープンソースには、オープンオフィスやリニューアルしたウェブブラウザなど実用的な大規模パッケージから、個人が作った小規模なツールまで、様々なソフトウェアが無料で提供されています。目的に合わせて自由に選ぶことができます。
ソースコードが公開されているため、必要に応じてカスタマイズが可能です。企業は自社のウェブサイトやネットショップの画面レイアウトなどに最適化でき、個人でも用途に合わせて改造できます。セミナーや書籍で方法を学べます。
クラウド環境で構築することができます。Amazonなど有名なクラウドベンダーも多くのオープンソースを採用しており、必要に応じてスケーリングが可能です。将来の可能性に開かれています。
初期コストゼロから始められるのが大きな利点です。1億円超のコストがかかる有償ソフトウェアに比べ、リソースに合わせて段階的に投資できます。そのため開発者に選ばれる理由となっています。
事業規模が比較的小さければオープンソースやASPサービスで済ませられますが、規模が大きくなれば専門業者への委託を検討する必要があります。構築方式の選び方は、事業者にとって極めて重要な判断ポイントになるでしょう。
比較項目 | 無料ツール(オープンソース) | ASPサービス |
---|---|---|
機能の自由度 | 自由度が高く、機能の組み合わせが自由 | あらかじめ機能が組み込まれている |
技術力の必要性 | 技術力が必要 | 技術力不要 |
メンテナンス負荷 | カスタマイズ性が高いが、メンテナンス負荷が大きい | メンテナンス不要、サービス提供者が行う |
運用コスト | サーバー構築やセキュリティ対策を自社で行う必要がある | 月額料金が発生、さまざまなサービス提供 |
拡張性 | 拡張機能やテーマが豊富 | 大幅なカスタマイズには開発費用が必要 |
無料ツール(オープンソース)は、機能の自由度が高く、ユーザーが自由に機能を組み合わせることができます。しかし、その分技術力が必要であり、カスタマイズ性が高いため、メンテナンスの負荷が大きくなります。
一方、ASPサービスはあらかじめ多くの機能が組み込まれており、技術力が不要です。メンテナンスはサービス提供者が行うため、ユーザーはその負荷を気にする必要がありません。
有力なECサイト構築ASPサービスにはいくつかの選択肢があり、それぞれ特徴や対象が異なっています。主要サービスの概要は以下の通りです。
Shopifyは、ECサイト構築のためのオールインワン型プラットフォームです。豊富なテンプレートやアプリ、支払いゲートウェイを提供し、初心者から専門家まで幅広いニーズに対応します。クイックに始められ、拡張性も高い点が特徴です。
STORES(ストアーズ)は、日本国内で非常に人気のあるECサイト構築プラットフォームです。主に個人や中小企業向けに、使いやすいインターフェースと豊富な機能を提供しています。STORESを利用することで、専門知識がなくても誰でも簡単にオンラインショップを立ち上げることができます。STORESは、ECサイトを構築する際に日本国内でよく選ばれる選択肢の1つです。
カラーミーショップは、日本のECサイト構築プラットフォームであり、大手ECサイトの運営会社が提供しています。カラーミーショップを利用することで、利用者は簡単な操作でオンラインショップを構築することができます。また、豊富なノウハウやサポート体制が整っており、初心者でも安心して利用できる特徴があります。料金プランは「レギュラー」「ラージ」「プレミアム」と3つり、それぞれのプランには異なる機能と価格が用意されています。
MakeShopは、GMOグループが提供するECサイト構築ASPサービスです。小規模店舗から中規模店舗向けのシンプルなプランから、多機能で高度なカスタマイズが可能なプランまで幅広く提供しています。豊富なテンプレートやカスタマイズオプションを活用して、独自のオンラインストアを構築することができます。
それぞれサービス内容や料金体系が異なるため、自社の要件に合ったサービスをしっかり選ぶ必要があります。機能、セキュリティ、サポート体制なども比較のポイントになります。
オープンソースを利用したECサイトの半フルスクラッチ構築について解説します。この手法は、既存のオープンソースECプラットフォームをベースにしながら、カスタマイズや拡張を行うことで、自社独自のECサイトを構築する手法です。柔軟性とコスト効率の両方を兼ね備え、中小規模の事業者から大手企業まで幅広く適用可能です。
EC-CUBEは、日本国内で広く利用されているオープンソースのECサイト構築プラットフォームです。このプラットフォームは、柔軟なカスタマイズ性と豊富な機能を提供し、個人のブランドや企業のニーズに合わせてECサイトを構築することができます。EC-CUBEは、日本のビジネス文化や決済システムに特化しており、日本のEC市場での利用が容易です。また、豊富なプラグインやテーマが提供されており、それらを組み合わせることで、様々な機能やデザインを実現することが可能です。EC-CUBEは、中小規模の事業者から大規模な企業まで幅広いニーズに対応しています。
WooCommerceは、WordPressのプラグインとして提供されるオープンソースのECプラットフォームです。WordPressの強力なCMS機能と組み合わせることで、柔軟性や拡張性に優れたECサイトを構築することができます。WooCommerceは、豊富なプラグインやテーマ、拡張機能を提供し、オンラインストアをカスタマイズして運営することが可能です。また、WordPressコミュニティのサポートやドキュメントが充実しており、初心者でも扱いやすい特徴があります。WooCommerceは、中小規模のビジネスから大規模な企業まで幅広いニーズに対応しています。
Magentoは、オープンソースのECプラットフォームで、大規模なオンラインストアを構築するための強力なツールです。柔軟性や拡張性に優れており、カスタマイズやスケーラビリティに富んでいます。豊富な機能を備えており、商品管理、注文管理、顧客管理、マーケティング、支払い、配送など、ECサイトを運営するために必要な機能を網羅しています。Magentoは、多言語・多通貨に対応しており、国際展開を考えている企業にも適しています。また、大規模なトラフィックや高いセキュリティ要件にも対応しており、信頼性の高いECサイトを構築することができます。ただし、導入やカスタマイズにはそれなりの技術力が必要であり、初心者にはやや敷居が高いとされています。
オープンソースを利用したECサイトの半フルスクラッチ構築を委託する際には、適切な開発会社を選定することが重要です。以下は、委託先選定のポイントです。
開発会社の過去の実績や事例を確認し、ECサイト構築の経験豊富な会社を選びましょう。特に、オープンソースを活用したプロジェクトの実績があるかどうかをチェックします。
委託する会社が提供する業務範囲やフェーズを明確に確認しましょう。設計から開発、テスト、運用サポートまで一貫して提供できるかどうかを確認します。
セキュリティや運用フェーズのサポート体制が整っているかどうかを確認します。安定した運用やトラブル時の対応がスムーズに行えるかどうかが重要です。
開発会社の人員体制や技術レベルを確認しましょう。エキスパートが揃っており、最新の技術やトレンドにも対応できるかどうかを確認します。
専門業者に委託する場合、概算の費用は以下のようになります。
ECサイトの規模や機能要件の複雑さに応じて、構築費用は大きく変動します。小規模なサイトでは数百万円程度で収まることもありますが、大規模で複雑な要件を満たす場合は数千万円を超えることもあります。また、サーバーやドメイン、SSL証明書などの費用も構築時に必要です。構築後のメンテナンスやセキュリティ対策などの運用保守費用も毎年数百万円が見込まれます。フルスクラッチでECサイトを構築する場合、初期投資として多額の費用が必要ですが、要件を完全に満たしたサイトを構築し、将来的な拡張性も確保できるというメリットがあります。
ECサイト構築に必要な費用は、選んだ構築方式や機能要件によって大きく変わってきます。おおよその目安は以下のとおりです。
無料のオープンソースを使えば、初期費用をほとんどかけずにECサイト構築が可能です。しかし機能をカスタマイズしたり、セキュリティ対策を施したりする際には、開発の人件費が別途かかります。サーバー費用も月額1,000円前後は見込む必要があります。
一方、有料のASPサービスを利用する場合は、標準的な機能がある程度備わっているため、初期費用を数万円程度で済ませられます。ただし月額料金が必須で、さらに機能を追加する際には開発費用が発生します。
最も自由度が高いのがフルスクラッチでの構築ですが、数百万円から数千万円の高額な構築費用が見込まれます。サーバー費用なども別途必要で、毎年数百万円の保守運用費用も発生します。
限られた予算で始めたい場合は、オープンソースやASPサービスからスタートし、事業が軌道に乗ってきたら本格的な構築を検討するのが無難です。初期投資を大きく抑えつつ、ビジネスの成長に合わせてECサイトを進化させていくことが重要になります。
EC販売では欠かせない決済機能についても、構築時に対応が必要です。主な決済手段としては以下が挙げられます。
クレジットカード決済は、ECサイト上で最も一般的に利用される支払い方法の1つです。利用者はクレジットカード情報を入力し、支払いを完了させます。その後、カード会社が購入金額を売り手のアカウントに振り込みます。利用者にとっては便利で、販売者にとっては収益の確実性が高まります。しかし、手数料が高額であったり、不正利用のリスクがあることに注意が必要です。
コンビニ決済・ペイジー決済は、オンライン上で支払い番号を取得し、コンビニエンスストアやペイジー対応の金融機関で現金を支払う方法です。利用者はECサイトで支払い番号を取得し、指定された期限内にコンビニで支払います。この支払い方法の利点は、クレジットカードを持っていない人でも利用できることと、支払いが確実に完了することです。一方で、支払いまでの時間がかかったり、コンビニの営業時間に制限があるというデメリットもあります。
キャリア決済・ペイパル決済は、携帯電話会社やオンライン決済サービスで利用者が支払いを行う方法です。キャリア決済では、購入者の携帯電話料金と合算して支払いを行います。一方、ペイパル決済はオンライン上での支払いサービスで、購入者は自身のペイパルアカウントを使用して支払います。キャリア決済は特に若年層に訴求力があり、クレジットカードを持っていない人でも利用できるため、ECサイトの顧客獲得に有効です。ペイパル決済は手軽で利用者にとっても安心感がありますが、手数料が高めであることや不正利用リスクがあることがデメリットです。
ネット銀行・電子マネー決済は、インターネットを通じて銀行振込や電子マネーサービスを利用して支払いを行う方法です。利用者は自分の銀行口座や電子マネーアカウントから支払いを行います。この決済方法は利用者にとって利便性が高く、多様な支払い方法に対応できる利点があります。しかし、販売側が手数料を負担する場合が多く、決済手数料が高額であることや売上が遅れて入金される場合があるなどのデメリットも考慮する必要があります。
このように様々な決済方式があり、一長一短があります。販売価格や利益率、ターゲット顧客層などを考慮し、最適な組み合わせを検討する必要があります。複数の決済方式を用意することで、利用者の選択肢を増やし、離脱を防ぐ効果が期待できます。
また、決済会社や決済システムの選定は、導入済みのECサービスに準拠するケースが多く、自由度は限られます。フルスクラッチ構築の場合は、より柔軟に要件を満たす決済システムを組み込めるメリットがあります。
以下はECサイトには基本機能から現在よく見られるモダン機能になります。これらを構築時に実装するか、あとから追加するかを検討しましょう。
機能 | 説明 |
---|---|
商品ページ | 商品情報や画像、価格、在庫状況などを提供 |
カート機能 | 顧客が商品を選択し購入できるようにする |
会員登録 | 顧客情報を収集し、会員アカウントを作成 |
決済連携 | 各種決済手段(クレジットカード、銀行振込など)との連携 |
在庫管理 | 商品の在庫数や管理状況を管理 |
発送管理 | 注文処理から発送までの管理 |
顧客管理 | 顧客情報の管理、注文履歴の確認 |
問い合わせ対応 | 顧客からの問い合わせに対する対応 |
セキュリティ対策 | 外部からの不正アクセスや情報漏洩を防止するための対策 |
モバイル対応 | スマートフォンやタブレットなどモバイル端末での利用に対応 |
ポイント発行機能 | 顧客にポイントを付与する機能 |
クーポン発行機能 | 割引クーポンを発行する機能 |
定期購入機能 | 商品を定期的に購入するための機能 |
継続課金機能 | 定期的に料金を請求するための機能 |
在庫API | 外部システムとの在庫情報の連携 |
ECカート | ECサイトにおけるショッピングカート機能 |
SNS連携機能 | ソーシャルメディアとの連携を可能にする機能 |
動画機能 | 商品紹介などのための動画コンテンツの表示機能 |
レビュー機能 | 顧客が商品に対してレビューや評価を行う機能 |
メール配信機能 | 顧客へのメール配信や自動返信などの機能 |
アフィリエイト機能 | 他のウェブサイトからの流入を促進し、報酬を支払う機能 |
ライブチャット機能 | リアルタイムで顧客とチャットを行う機能 |
SEO対策機能 | 検索エンジンでの上位表示を目指すための対策機能 |
販売分析機能 | 売上や顧客行動などのデータを分析し、改善に役立てる機能 |
ワンクリック購入機能 | 1クリックで購入が完了する機能 |
カスタマーサポートシステム | 顧客の問い合わせやトラブルに対応するためのサポートシステム |
ギフトラッピングオプション | 商品のギフトラッピングを選択できる機能 |
複数通貨対応機能 | 複数の通貨での支払いを可能にする機能 |
メンバーシップ機能 | 特定の会員グループに対する特典や割引を提供する機能 |
ソーシャルログイン機能 | ソーシャルメディアアカウントを使用してのログインを可能にする機能 |
バックオーダー管理機能 | 在庫切れ商品の注文を受け付け、後で在庫が入った際に発送する機能 |
返品・交換管理機能 | 商品の返品や交換に関する手続きを管理する機能 |
クイックビュー機能 | 商品の詳細ページを離れずに閲覧できる機能 |
リマーケティング機能 | 顧客が訪れた商品ページに関連する広告を表示する機能 |
予約・予約管理機能 | 予約可能な商品やサービスの販売、予約の管理を行う機能 |
評価機能 | 商品やサービスに対するレビューや評価を収集する機能 |
ギフトカード機能 | デジタルまたは物理的なギフトカードを購入・利用できる機能 |
パーソナライズ機能 | 顧客の購買履歴や興味に基づいて個別の商品やサービスを推薦する機能 |
モバイルペイメント機能 | スマートフォンやモバイル端末を使用しての支払いを可能にする機能 |
チャットボット機能 | 自動応答プログラムを利用して顧客とのコミュニケーションをサポートする機能 |
地域別送料機能 | 商品の配送先地域に応じて送料を設定する機能 |
バンドル販売機能 | 複数の商品をセットで販売する機能 |
レスポンシブデザイン | 異なるデバイスや画面サイズに対応したデザインを提供する機能 |
オーダー管理 | 注文の受け付けから発送までの一連のプロセスを管理する機能 |
複数通貨対応 | 複数の通貨での支払いを可能にする機能 |
基本的な機能に加え、より利便性を高めるモダン機能の搭載も検討すべきでしょう。例えばポイントやクーポン発行機能、定期購入の機能などは、顧客囲い込みやリピート購入促進に役立ち、また、在庫APIやECカートとの連携によって、バックオフィスとの業務効率化が図ることが期待できます。
機能を多く盛り込めば、利便性は向上しますが、構築コストも高くなります。ECサイトの目的や規模、事業の成長見込みなどを考慮し、適切なバランスを見極める必要があります。優先順位を付けて、段階的に機能を拡充していくのが賢明でしょう。
ECサイトを構築し公開できたら、次はその運営と販促が課題になります。ECサイトを適切に運営し、集客や売上を伸ばしていく具体的な取り組みが求められます。
基本的な運営業務 | 詳細 |
---|---|
在庫管理、受注処理、顧客対応 | 商品在庫の管理、注文処理、顧客の問い合わせ対応など。 |
サイトメンテナンス、セキュリティ対策 | サイトの更新、バグ修正、不正アクセス防止のためのセキュリティ対策。 |
サイト改善のためのログ解析 | アクセスデータの分析によるサイト改善の実施。 |
商品情報の更新 | 新商品の追加や商品の情報修正を行う。 |
キャンペーン管理 | 販売促進のためのキャンペーンを企画・実施する。 |
返品・交換対応 | 顧客からの返品や交換の処理を行う。 |
顧客データ管理 | 顧客の購入履歴や個人情報を適切に管理する。 |
レビュー管理 | 顧客からのレビューやフィードバックを管理し、対応する。 |
配送管理 | 注文商品の配送手配と配送状況の追跡を行う。 |
決済管理 | 各種決済方法の管理と決済状況の確認を行う。 |
販促施策 | 詳細 |
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SEO対策 | 検索エンジン最適化により、検索結果の上位に表示されるようにする。 |
SNS運用 | Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSで情報を発信し、集客を図る。 |
メールマーケティング | 顧客に対して定期的にメールを送り、プロモーションや情報を提供する。 |
アクセス解析に基づいたUI/UX改善 | アクセスデータを元に、ユーザーインターフェースやユーザー体験を改善する。 |
リターゲティング広告の活用 | 一度訪れたユーザーに再度広告を表示して購買を促す。 |
ブログやYouTubeなどのコンテンツマーケティング | ブログ記事や動画を使った商品の魅力や使用方法の発信。 |
インフルエンサーマーケティング | 影響力のある人物に商品を紹介してもらうことで、認知度を高める。 |
アフィリエイトマーケティング | 第三者のサイトで商品を紹介してもらい、成果報酬を支払う。 |
キャンペーンやセールの実施 | 期間限定のキャンペーンやセールを行い、購買意欲を高める。 |
パーソナライズドマーケティング | 顧客の過去の購買履歴や行動データを基に、個別にカスタマイズされたプロモーションを提供する。 |
販促面では、EC業界の最新動向に常に注目し、有効な施策を積極的に取り入れていく必要があります。費用対効果も意識しながら、マーケティング施策を組み立てましょう。
ECサイトの運営は非常に手間がかかります。ある程度以上の売上や規模のECサイトでは、適切な人員を確保し、役割分担を明確にした体制を整備する必要があります。
運営責任者はECサイト全体の統括を行い、運営方針や戦略を決定します。売上目標の設定や予算管理、全体の進捗確認などを行い、他の担当者との連携を図る重要な役割を担います。
この担当者は、商品ページの作成や更新、在庫管理を行います。具体的には、商品の説明文や画像のアップロード、価格設定、在庫数の調整などを行い、顧客が常に最新の情報を得られるようにします。
マーケティング・プロモーション担当者は、アクセス解析やSEO対策、広告運用などを担当します。サイトのトラフィックを増やすための戦略を立案し、実行することで、売上を伸ばすための施策を展開します。SNS運用やメールマーケティングもこの担当者の役割に含まれます。
この担当者は、顧客からの問い合わせやクレーム対応を行います。迅速かつ丁寧な対応を心掛け、顧客満足度を高めることが求められます。顧客からのフィードバックを集め、改善策を提案することも重要な役割です。
Webシステム・インフラ担当者は、ECサイトのシステム保守と運用、セキュリティ対策を担当します。サイトの安定稼働を確保するためにサーバーの管理や障害対応を行い、顧客のデータを守るためのセキュリティ対策を強化します。
このように役割を分担し、一人で複数の業務を兼務するのは現実的ではありません。ECサイト運営では多岐にわたる業務が発生するため、各担当者が専門的な知識とスキルを持って対応することが重要です。
Webコンサルティング会社は、ECサイト運営の全般にわたるアドバイスを提供します。売上アップのための戦略立案や運営改善提案など、専門的な知見を活かした支援を行います。
運営代行サービスを利用すれば、受注処理や在庫管理、顧客対応などの業務を外部に委託できます。これにより、自社の負担を軽減し、専門的な運営ノウハウを活用することが可能になります。
ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)を活用することで、バックオフィス業務を効率化できます。経理や人事、物流管理などの業務を専門業者に委託することで、コア業務に集中できる環境を整えます。
SEO対策や広告運用を専門とする会社に委託することで、より効果的な集客施策を展開できます。最新のマーケティング手法を取り入れ、サイトの露出を高めることが可能です。
人員の確保が難しい場合や、急な大量受注への対応が必要になった場合には、外部の専門サポートを活用するのも有効な選択肢です。特にマーケティング施策の実行や、システム保守・セキュリティ対策などの分野では、高い専門性が求められます。社内では十分な人材を確保できない場合が多いため、外部に委託するケースも多くみられます。ニーズに合わせてこまめに体制を整備・強化することで、ECサイトの安定的な成長と収益化が実現できるはずです。人員確保は運営における重要課題の一つと言えるでしょう。
ECサイト構築の成功ポイントは、既に先行して導入実績のある企業の事例から学ぶことができます。本格的なECビジネスに参入する際の参考にしてみましょう。
大手アパレルブランドや消費財メーカーの多くは、UI/UXの向上に注力しながらECサイトを構築しています。直感的でストレスのない操作性を追求し、スムーズな購買体験を提供することが成功の鍵となっています。
また、ECサイトと実店舗の連携を重視し、オムニチャネル戦略を展開しているのも特徴です。在庫の共有や、買い物かごの連携、ポイントの相互利用など、シームレスな購買体験を実現しています。
BtoBの領域では、取引先企業向けの専用ECサイトを構築する事例が増えてきました。伝票発行や自動見積機能、決済システムとの連携など、特化した機能を実装しています。
既存の営業活動や受発注業務とECサイトを連携させることで、業務効率化を実現しつつ、新規販路の開拓も可能になります。高付加価値な製品やサービスのECでは、このようなカスタマイズ性が重視されがちです。
このように、企業の規模や業態、商材に応じて、様々な工夫が取り入れられています。競合との差別化や顧客ニーズへの対応、業務課題の解決など、事業者自身の経営課題に即した形でECサイトが構築されているのがポイントです。
ECビジネスに挑戦する際は、まずは自社が抱える経営課題を洗い出し、ECサイトによる解決策を検討することが肝心です。先行する企業の事例から、ヒントを得ることも重要なプロセスになるでしょう。
ECサイトを成功に導くためには、構築前の要件定義が極めて重要になります。具体的な要件を詰めきれないと、構築後に大掛かりな設計変更を余儀なくされ、多大な損失を被るリスクがあるのです。
まずは、ECサイトの目的、コンセプト、ターゲット顧客層を明確にする必要があります。事業者自身のビジョンを明文化し、具体的な方針を定めましょう。
次に、扱う商品カテゴリとその規模感、具体的な機能要件をしっかりと洗い出します。決済や在庫管理、SNSとの連携など、必要な機能はすべて網羅する必要があります。
デザインのイメージについても、使用色や写真・動画の扱い方まで詳細に検討しておきます。目指すべきUI/UXのレベルとセキュリティ対策の水準も要件定義に含めるべき重要項目です。
さらに、ECサイトの運用体制をどう構築するかについても、この段階で検討しなければなりません。必要な人員と業務分担を明らかにし、スムーズな運営が可能か確認する必要があります。
要件定義は多岐にわたります。自社単独で検討するのは難しい場合が多いでしょう。そこで有力な構築企業に相談し、専門家の視点を取り入れることが賢明です。
構築企業には過去に数多くのECサイト構築を手がけてきた豊富な経験とノウハウがあります。成功事例から学ぶとともに、失敗のパターンにも注意を払えば、リスクを最小限に抑えられるはずです。
要件をブレさせないためにも、構築前の綿密な打ち合わせと詳細な要件定義書の作成が不可欠です。ECサイト構築経験が豊富な専門企業と連携することで、誤りを最小限に抑え、成功の確度を高められるはずです。
最後に、ECサイトの構築から公開・運用に至るまでの全体的なステップと流れをまとめます。ECサイト構築は一過性の取り組みではなく、事業の根幹を成すインフラと捉えるべきです。長期的な視点に立ち、着実にプロセスを進めることが大切です。
構築から公開までを着実にこなし、集客と売上アップに向けた地道な取り組みを重ねることが、ECサイト成功の鍵となります。一過性の取り組みと考えるのではなく、事業の根幹を成すインフラと捉え、長期的な視点で対応していくことが大切でしょう。